メディカルアロマ

メディカルアロマセラピーとは?
アロマセラピーには、入浴や部分浴(手浴、足浴)またはオイルトリートメントを通じて、薬理効果を持つ精油を皮膚から吸収させることで、体の内側から不調の軽減に働きかける力もあります。こうした精油の香り・薬理効果が心と身体に影響を与える力に注目し、統合医療に役立てようと医療・福祉現場で導入が進んでいるのが「メディカルアロマセラピー」なのです。

フランス発祥の芳香療法医療行為として認められている国も
ヨーロッパでは昔からハーブがとても身近な存在で、人々の暮らしに寄り添ってきました。特にフランスやベルギーでは、代替・補完医療としてのアロマセラピー「メディカルアロマセラピー」の活用が活発です。
西洋医学ではフォローしきれないメンタル面での不調ケアに有効
メディカルアロマセラピーでは、香りが脳に伝わり人の心に作用する仕組みを活用しています。その仕組みは科学的にも解明されており、香りの癒し効果と精油の薬理効果はメンタル面での不調に有効に働きます。
認知症予防や終末期ケアなど日本でも医療現場での導入が進む
日本では西洋医学を補完する代替医療としてメディカルアロマセラピーの導入が進んでいます。また、治療だけでなく統合医療の観点から、疾病の予防や健康増進に役立たせることを目指しています。
一般的なアロマセラピーとの違い
どちらも香りによる効果を得る目的で用いられますが、一般的なアロマセラピーでは主にリラクゼーションや香りを楽しむことが目的であるのに対して、心や体の不調・機能改善を目的に代替医療の一つとして医療や福祉の現場で導入されているのがメディカルアロマセラピーです。
アロマセラピー
リラクゼーションや香りを楽しむことを目的に、ディフューザーで焚いたり、エアーフレッシュナーやアロマバスにしたりと広く一般的に用いられています。使用上の注意さえ守れば、誰でも安全に楽しむことが出来ます。
メディカルアロマセラピー
精油が持つ薬理効果を、皮膚疾患、伝染症疾患、神経性疾患の治療に役立てたり、自然治癒力を高め心身を健全な状態へと導く目的で用いられます。精油学、基礎医学、心理学などの専門知識を身につけた人のみが扱えます。
メディカルアロマセラピーの流れ
カウンセリング
体調や症状を聞き、根本的な不調や原因を探る。
ブレンディング
カウンセリングを元に精油を調合する。
施術
症状に合せた施術を行う。
セルフメディケーション・その他の対処法を提案
自宅でもアロマを使ったセルフケアができるよう提案。
アフターフォロー
心身の不調の改善には時間を要するため、今後のアドバイスや体調などの気配りなど…
アロマセラピーのメカニズム
アロマの香りが吸収される3つのルート
これにはアロマセラピーに使用する精油の芳香成分が、どのようなルートで体内に吸収されるかが関係しています。精油の芳香成分が体内に吸収されるルートは、主に以下の3つです。
ルート1鼻から脳へ
芳香成分が鼻の奥にある嗅細胞を刺激し、その刺激が電気信号へと変化して脳の大脳辺縁系へ伝達されます。さらにそこから視床下部、下垂体へと伝わります。大脳辺縁系の中には扁桃体や海馬と呼ばれる器官が存在し、芳香成分はここにもダイレクトに伝わります。
ルート2肺から全身へ
鼻や口から吸収された芳香成分が気管を通過して肺へ到達し、肺胞から血液に流入して全身の組織や細胞に運ばれます。
ルート3皮膚から全身へ
芳香成分は分子が小さいため、皮膚の奥にある毛細血管にまで浸透します。そして毛細血管を流れる血液にのって、全身の筋肉や器官に運ばれます。
自律神経やホルモンバランスを司どる器官にアプローチ
私たちがアロマの香りでリラックスできるメカニズムに大きく関わるのは、上記の「ルート1」です。アロマの芳香成分は電気信号へと変化して脳の大脳辺縁系、視床下部、下垂体へ伝達されます。この中の視床下部は、自律神経やホルモンのバランスを司っている非常に重要な器官です。
アロマの香りが視床下部に直接働きかけることで、自律神経やホルモンのバランスを整えることができるのです。自律神経やホルモンのバランスが整い副交感神経が優位になれば、身体の緊張がほぐれ、気持ちが落ち着き、心身共にリラックスすることができます。
一方、大脳辺縁系は記憶を司る「海馬」や感情を司る「扁桃体」などで構成されています。香りを嗅いだときに、その香り関わる懐かしい記憶がふと蘇るのには海馬の働きが関係しているといわれています。扁桃体は「快・不快」などの感情を司ります。アロマの香りが扁桃体にダイレクトに伝わることによって、私たちは安らぎや心地良さを感じるのです。
もちろんルート2やルート3のように、血液やリンパ管によって香りが全身へ運ばれる場合も、さまざまな器官に好影響を与えてくれることが分かっています。
人間の心や身体を司る大脳辺縁系や視床下部にダイレクトにアプローチするのですから、アロマの香りが心身に与える影響は決して小さくはないということが分かりますね。
タッチング効果 |
トリートメントは強ばった身体を緩め、頭の疲れも癒します。優しい圧で行うタッチングがもたらすいい影響、その1つが「オキシトシン」というホルモンが分泌する事です。 オキシトシンは別名「愛情ホルモン」「癒しホルモン」「安静ホルモン」などと呼ばれており、その癒し効果はとても大きく、関節の痛みや日ごろのストレスを大きく和らげてくれることが分かっています。 |
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心に対する働き |
精油を嗅ぐと、「エンドルフィン」「セロトニン」「アドレナリン」などが分泌されるといわれており、多幸感や情緒の安定、心を鼓舞・活気づける、鎮静などの効果をもたらす脳内の神経伝達物質です。 香りによって刺激される脳内の視床下部、下垂体、大脳辺縁系は、「情動・記憶・本能行動・食欲・性欲・睡眠欲・自律神経系や内分泌系の働きをコントロールしている」場所です。これらは心の影響を受けやすく、感情が安定していると円滑に働き、病気にもなりにくいことが分かっています。 |
体に対する働き |
精油の成分には、免疫系を強化、血液やリンパの流れを促す、腎臓や肝臓、胃など体の各器官を刺激して働きを向上させるなどの効果があります。それにプラスし、トリートメントを行うことでトリートメントそのものに同様の効果と筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減させる効果があります。アロマを使ったトリートメントを行うことでプラスの効果が発揮される。 |
皮膚に対する働き |
精油の成分の中には肌の調子を整え、スキンケアにも役立つものが多数あります。殺菌消毒作用があるものもあるため、ニキビや傷のケアなどにも使うことができるのです。好きな香りで心地よさを感じ、リラックスすることにより血管が広がり同時にトリートメントによっても血流が促進され、結果的に皮膚のターンオーバーの活性化につながるのです! 皮膚と脳は親密な関係にあるので、皮膚へのやさしい触覚刺激が情緒を安定させ、ストレスへの耐性を高める効果があります。 |
アロマ活用例 |
芳香浴 スプレー クリーム アロマバス スキンケア 掃除 消臭 |